2019年2月 【第六話】科学的医学に駆逐されかけた漢方

■第六話:科学的医学に駆逐されかけた漢方■

科学である西洋医学が、明治の近代日本に採用され医学の中心となったとき、漢方は存亡の危機に陥ります。

それまで医療の中心であった漢方医は医業を行えるものは既得権として一代限りとなり、以後は西洋医学のみでしか医業は行えなくなります。

一方、中国でも中国伝統医学(中国の漢方)は西洋医学に大きく揺さぶられ、漢方からも西洋医学と融和を模索する流派なども出現し、西洋医学と東洋医学(中国伝統医学)の大きなせめぎあいが起こります。

科学である西洋医学と、科学と別の思考体系を持つ漢方。

この二つの融合については、すでに1892年に中国の朱沛文によって著された「華洋臓象(腑)約纂(別名:中西臓腑図象合纂)」のなかで、結合することは不可能であるとの趣旨が述べられています。

漢方は、漢方的思考での使用によって本来の効果を発揮する事が出来ます。

故に、ある意味西洋医学に対立する思想をもつ漢方に、科学的バイアスをかけた使用法は、小柴胡湯やその他の漢方薬の副作用を増長している現実があります。

実際に、漢方的思考で使用された漢方薬は、副作用はほとんどありません。なぜなら、漢方の多くは食事の五味(酸、苦、甘、辛、鹹)の延長上に作られた処方が多いからです。

続く・・・・。